30代で白内障手術をした話

白内障の原因

白内障の原因といえば主に加齢による発症が有名です。加齢以外にも特殊な薬(アトピーに使うステロイドなど)によるもの、糖尿病などの疾患によるもの、外傷によるもの、先天性など、様々な原因があるようです。

実をいうと、私(中村)はかなりの強度近視(-13D)で、過去に複数回眼底出血にもなり、網膜は薄く、病的近視という状態です。30代の白内障は珍しいので、私の場合はおそらく強度近視が原因ではないかとのことでした。(ですが20代の頃から言われてたので先天性かも?実はよくわかりません)

若年性だと進行も早いこと、最近はかなり視力が落ちていたこともあり、数ヶ月前に予約し、5月末に手術を終えました。

白内障の割合

加齢によるものでも早い人は40代から発症し、なんと80歳以上の人はほぼ100%がなるとか。日本は医療が進んでいるので、白内障が原因で失明する率は3%程度らしいのですが(それも治療せず放置していた人が多い?)、世界的に見ると失明の原因のトップのようで、日本に生まれて高度な医療が受けられることに感謝しかないなぁと感じます。

そして私と同世代の多くが手術する頃(30-40年後?)には、もっとすごい医療技術が発達していそうですね。

眼内レンズの種類と術後の視力

水晶体の濁りを取った後に入れる眼内レンズは、保険が適用される単焦点レンズにしました。多焦点レンズという遠近2つの距離に焦点を合わせられる眼内レンズもあるのですが、保険適用外ということと、普段見てもらっている医院では対応できないということで、単焦点レンズに決めました。術後もメガネが必要ということにも全く抵抗がなかったですし。

単焦点なので、事前に「遠くが見えるようにするか」「近くが見えるようにするか」を選ぶ必要がありました。日頃パソコンで仕事をしたり、細かい作業をしたりと近くを見ることが多いので、軽い近視(両目0.2くらい)に合わせてもらいました。

先生によると、車の運転が多い人やスポーツをよくする人、もともと目のいい人などは、遠方に焦点を合わせる方が術後のQOLが高いそうです。

手術前には裸眼では10cm前もはっきり見えなかったので、術後には家の中なら問題なく裸眼で過ごせるようになり、本当に感動しています。

分厚いメガネコンプレックス

分厚いメガネとコンタクト

今回の手術で何より嬉しかったのは、長年のコンプレックスだった超分厚いメガネから卒業できたことです。強度近視ではない方には「なんのことやら」という感じだと思うのですが、長年「メガネをかけて人前に出ること」に極度のコンプレックスがありました。強度近視の人は、少なからず同じような悩みを抱えている人が多いんじゃないかなぁと思います。

どのくらい極度かというと、深夜にコンビニに行くのもメガネから使い捨てコンタクトに替えるくらい(コンビニに行く一瞬のためにそのコンタクトを捨てることになっても)。あとは、幸いそんな経験はなかったですが、突然地震が起きたとして「逃げなきゃ!」となった時、お財布より何より、コンタクトを握りしめると思います。

なぜそんなに嫌だったのかというと、屈折率がかなり高いので、メガネをかけると目が半分くらいに小さくなってしまうんですよね。そのメガネをかけた自分の顔が嫌だったというのが主な理由ですが、嫌いになってしまったのには原因があります。

自分のメガネ顔が嫌いになったわけ

遡ること20年以上前。小学生の頃は今のように子供用おしゃれメガネがあまりなく、黒縁のメガネをかけていて、「メガネ」「クロブチ」って呼ばれることがありました。子供時代だけならよくある話かもしれませんが、大人になってからも、分厚いメガネをしていることに関して、傷つくことを何人かから言われたんですよね。

言っている本人たちには悪気はなかったでしょうし、傷ついたからといってその人を嫌いになることもなかったのですが、そういう「チクリ」とくる言葉が積み重なったことで、結果的に、いつの間にか自分のメガネ顔がものすごくコンプレックスになってしまったんです。

そんな事情があったので、白内障の手術をして分厚いメガネから卒業できることが「目の手術怖いなぁ」の100倍くらい楽しみでした。むしろ、早く白内障になって眼内レンズ入れたいなぁとさえ思ってました(変な表現ですが)。

悩みが解消された今は、想像していた以上に超・超ハッピーです。

新しいメガネ。薄さと軽さに感動!

当日の手術〜1週間

当日は事前の準備(目薬)が30分、手術自体は10-15分くらいで終了。その日に帰宅しました。痛みはほとんどなかったのですが、目を動かしたり明るいところを見ると刺激があったので、ほとんど寝て過ごしました。翌日からは眼帯もとれ、違和感もなくなりました。

術後の合併症を防ぐため、5日間は顔を洗ってはいけない(タオルで拭くのはOK)のでお化粧などできないのですが、外出の機会はほとんどないし、コロナ予防でマスクをしているのが普通な世の中だったので、思いがけず?助かりました。

一番きつかったのは、左目を手術してから右目を手術するまでの1週間、左目(手術済0.2)と右目(コンタクト0.8)の視力差がかなりあって気持ち悪かったこと、、です。

あと、たくさんの目薬を1日に何回もさすのはちょっと大変でした。(1つさしたら5分以上あけないといけないので、全部差し終わるのに20分近くかかりました)

たくさんの目薬。左用と右用それぞれ。

費用と保険

費用的には、3割負担で両目84,000円くらいかかったのですが、高額医療費支給制度を利用すれば少し戻ってくるのと、県民共済の医療特約に入っていたので、手術費用はほとんど返ってきました。日本の保険制度ってすごいなぁ・・・。

たまたま手術日に「特別定額給付金」(10万円)の申請書が市から届いていて、その日に共済金請求書(県民共済)と同じタイミングで出しました。どっちが早いかな〜なんて思っていましたが、県民共済は翌営業日にはもう振り込まれていました。コロナでお金がなかったので、これは本当に助かりました。

ちなみに、もらった共済金は県民共済の「医療特約」によるもので、基本料+月1,000円でつけられます。特約をつけ始めたのはかなり前で、大学院を卒業して社会人になった年くらいだった記憶があります。当時お世話になっていた眼科の先生に「強度近視で網膜が薄いから、何か不調を感じたらすぐ来てくださいね」と言われ、すぐネットで調べて「網膜剥離のリスク!こわ!特約つけとこ」的なノリでつけたものでした。その後、眼底出血のレーザー手術(数年前)で使い、今回で2回目の利用でした。あの時つけて本当によかった・・・。

白内障だった時の見え方

数ヶ月前、自覚症状はほとんどなかったのに、眼科の先生に「手術が必要なくらい進んでますよ」と言われました。言われた時は驚いて「え・・・?本当ですか?!」と聞き直してしまったくらい自覚はなかったです。

左目と右目は1週間あけて別の日に手術したのですが、左目の術後、右目(術前)と見え方を比べて「右目がなんか霞んでる!本当に白内障だったのか・・・」とやっと実感が芽生えました。白内障は徐々に視界が濁っていくので、自分では見えにくいという感覚がほとんどないまま進んでいくようです。

術後の合併症

実は術後2週間を過ぎた頃、見え方に異常を感じるようになりました。具体的には、座っていて立ち上がる動作をした時に、片目だけ目の前が数秒暗くなる状態(立ちくらみのような感じ)になりました。検査をすると左目の眼圧が上がってしまっているとのこと。稀ですが、目薬の副作用でそうなる人がいるようです。原因と思われる目薬をやめ、新しく眼圧を下げる目薬を使うことに。今は正常の範囲になり、見え方も異常はなくなりました。(ホッ)

一番怖い合併症は、手術後の傷口からばい菌が入り、増殖して眼の組織を壊してしまう「術後眼内炎」というものだそうです。2,000〜3,000件に1件の稀な合併症らしいのですが、怖すぎて、目薬をキチンとさすこと、先生に言われるまで顔を洗わないこと、大人しくしていることを徹底していました。幸い眼内炎になることはなく、傷口は綺麗に閉じたようです。

今困っていること

手術を終え、濁りは消えて、裸眼視力はよくなり、術前よりかなり快適で満足しているのですが、1つ困っていることがあります。

考えてみれば当たり前のことなのですが、自分の水晶体を取り除いてしまったため、私の眼には自分でピントを調整する能力がなくなってしまいました。さらには単焦点レンズを入れているため、遠くの見えるメガネをかけると、手元がぼやけて見えないのです・・・!(いわゆる老眼のような感じ?)

車の運転ができるよう、メガネ着用時の視力は両目で1.2くらいに合わせてもらったので、家の中ではピントがあう距離がちょっと遠すぎるんです。かといって裸眼は0.2くらいなので、足元のゴミやホコリが見えず、掃除などするには不便です。

白内障になる人の多くは、おそらく老眼が始まった後だと思われるので、術後そのあたりの不便さは気にならないのかもしれません。手術にあたり、ネット上にある経験談をたくさん読んだのですが、そういう内容のものは見かけなかったので、書いておこうと思います。早い年齢で手術する人はこういう不便さもありますよということで・・・。この状態で慣れるのを待つか、部屋の中用のメガネを作るか、、、悩み中です。

終わりに

手術してからメガネを手に入れるまで、なんだかんだと3週間くらいかかりましたが、今は術前に比べると世界が変わったように感じます。こんなに発展してきた医療もすごいし、手術してくれた先生の技術ももちろんすごいのですが、人間の眼って驚くほど高度な機能を持っているよなぁと改めて思いました。

あと何年かしてもっと技術が進んだら、脳と直接繋げる人工眼とか出てきたりして。そうしたらどんどんSF映画に出てくるような世界になっていくのかなぁ。

医療・技術の素晴らしさだけではなくて、人体の神秘について、とっても考えさせられる体験でした。

4 件のコメント

  • 千紗ちゃんの白内障手術は心配していたので、詳しく知ることが出来、又、プラスが多かったとのことで、本当に良かったです。
    いつも夫婦で「千紗ちゃんは綺麗な目をしてるね」と話しているのですが、それは視力や目の大きさや形とは違う別のことから来ているのでしょうね☺️

    • ありがとうございます☺️
      いろんな方から心配していただいたのですが、実は個人的にはメリットの方が大きかったんです!
      今は目の中を見ると人工レンズが光って見えるので、サイボーグとして生まれ変わった気分です笑

  • 手術して、新しい世界を手に入れられ、よかったです。
    母が数年前から加齢と軽い糖尿もあり白内障だったのですが、高齢と認知症のため、手術をすることなく亡くなりました。
    光や明るさの具合で、なんも見えへん、とよく言ってましたが、ちささんの文章で母の視界がどんなだったのかようやく想像がつきました。

    さて。
    術後、手元が見づらいとのこと。
    お若いので抵抗があるかもしれませんが、老眼みたいな症状ということですし、遠近両用メガネをお試しになってはいかがでしょうか?
    遠近両用は慣れるのに少し時間がかかる方もあるようですが、昔のと違い1枚のレンズにナチュラルに遠近が存在していて、見た目の違和感はゼロです。
    お医者様と相談してみてくださいませ。
    ウィズコロナではありますが、少しづつご活動も始まりそうな気配です。
    快適な視界でますます、ご活躍くださいますよう。

    • そうなんです!説明が難しいのですが、白内障の見えづらさって、近視のそれとはまた違って、近くも遠くもぼんやりにじむ感じで、結構ストレスだったんだなーと、よく見えるようになってから気付きました。日光や車の光も眩しくて、外出や買い物が億劫になってましたね・・・。それも後から「あぁ目のせいだったんだ」と気づいたんですが😅

      遠近両用、良さそうですよね!検診の時に相談してみます☺️
      活動の方もぼちぼちではありますが、頑張ります💪

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