世界最高のピアニスト、マルタ・アルゲリッチのコンサート「アルゲリッチ&フレンズ イヴリー・ギトリスへのオマージュ、再び」を観に行きました。
2年前に98歳で亡くなった偉大なヴァイオリニストで、アルゲリッチとも親交が深かったイヴリー・ギトリスへのオマージュ公演として、彼女自身が企画したコンサートです。
ちょっとしたきっかけがあってこの公演のことを知ったのと、「観たいと思ったものは観に行けるうちに行こう」という信念のもと、東京で他の用事もあったので、弾丸ですみだトリフォニーホールまで行ってきました。
アルゲリッチは人間の姿をしているものの、人に在らざる何か別の存在だと思いました。この世のものとは思えないぐらい凄かったです。
凄すぎて「感受性が押し潰されそうになる」「これ以上は心臓がもたない」と思いました。あまりにも凄いものを見たとき、人ってこんな風に感じるんだと思いました。
誰かのコンサートでこんな気持ちを抱いたのは少なくともこの15年ぐらいの間で初めてのことなので、自分でもびっくりしました。(それこそ15年ぐらい前にポリーニのコンサートを観たときの衝撃は未だに覚えています。そのときは僕も今よりもっと若かったので、兎にも角にもただただ興奮しました)
特に辻󠄀彩奈さんとのヴァイオリン・ソナタ(フランク)が素晴らしかったです。終わった後、(比喩ではなく)震えと、涙と、動悸が止まらずにしばらく呆然としていました。休憩になって会場が明るくなっても、5分ぐらいその場から全く動けず、立ち上がることができなかったです。
今まで何万回とピアノの音を聴いてきました。お粗末ながら自分でも弾いてきました。
根本的には同じ楽器のはずですが、明らかに今まで聴いたことがないような音が鳴っていました。完全に違う楽器でした。
「音に包まれる」なんてやさしいものではなく、「音に襲われている」ような感覚でした。
本来ピアノという楽器は、彼女のような人間に弾かれたときにその本領が最大限に発揮されるように発明され、作られているのではないかと感じました。
10年ぐらい前にクラプトンのライブを観た時にも同じようなことを感じたのを思い出しました。一音目が鳴った瞬間「ギターの音じゃない」と思いました。
アルゲリッチも(少なくとも自分が知っているような)ピアノの音ではなかったです。
あと「年齢ってただの数字なんだな」と思いました。アルゲリッチも81歳ですが、他の誰よりも若かったし、他の誰よりも、心の底から音楽を楽しんでいるように見えました。
あんなにとてつもない音を奏でているのに、時々(というかかなり頻繁に)共演者の方を振り向いて微笑みを浮かべながら弾く様子が、「本当に楽しそうだな」と思うと同時に、ある意味「恐ろしい」と思いました。
しばらく立ち上がれないほど震えたのは、感動の震えだけじゃなく、恐怖からくる震えもあったんだと思います。
心が押し潰されそうになるほどの感動と同時に、計り知れない恐怖さえも感じた、不思議なコンサートでした。
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氷置さんの人生、衝撃、感動の年譜に残るものですね✨有る年有る月有る日の感動と興奮の記憶が、魂の輝きとなって生涯、氷置さん体の中で息づいて行くのだと想います。そして何時の日にか、光を放ち始める日を待っているのではないでしょうか!✨✨🍀🍀
光を放てる時が来るまでいろんなものを吸収して糧にしていきたいと思います!😊